介護サービス利用時の負担額は?

介護保険
介護サービス利用時の負担額は?

認定された要介護度によって、介護保険制度によるサービスを受けられる金額の限度額が変わってきます。

この上限を支給限度基準額といい、その中でも自宅にいて利用できる介護サービスである居宅サービスの支給限度基準額を区分支給限度基準額といいます。

<居宅サービス>

区分支給限度基準額

要介護度 区分支給限度基準額
(居宅サービスの支給限度基準額)
※1単位10円として計算
要支援 1 5032単位:50,320円/月
要支援 2 10531単位:105,310円/月
要介護 1 16765単位:167,650円/月
要介護 2 19705単位:197,050円/月
要介護 3 27048単位:270,470円/月
要介護 4 30938単位:309,380円/月
要介護 5 36217単位:362,170円/月

住宅改修費支給限度基準額

要介護度 住宅改修費
支給限度基準額
要支援 1 20万円(1回限り)
要支援 2 20万円(1回限り)
要介護 1 20万円(1回限り)
要介護 2 20万円(1回限り)
要介護 3 20万円(1回限り)
要介護 4 20万円(1回限り)
要介護 5 20万円(1回限り)

福祉用具購入費支給限度基準額

要介護度 福祉用具購入費
支給限度基準額
要支援 1 10万円/月
要支援 2 10万円/月
要介護 1 10万円/月
要介護 2 10万円/月
要介護 3 10万円/月
要介護 4 10万円/月
要介護 5 10万円/月

住宅改修と福祉用具購入以外の介護サービスの報酬は金額ではなく、「単位」で設定されています。

例えば、この介護サービスは1000円、という設定ではなく100単位、というように設定されています。

「1単位=10円」が基本になりますが、地域によって「1単位=10円~11.4円」と1単位の設定が変わります。

ざっくり言うと、基本的には都心などの方が高い設定になっています。

最低賃金や物価も都心のほうが高いですから、そのようなイメージでとらえればいいと思います。

そしてこの支給限度基準額を超えた分は基本的に全額自己負担になります。

ですからケアマネージャーは、基本的にはこの支給限度基準額の範囲内でケアプランをたてていきます。

計算例を見ていきましょう。

<例1>

要介護1で負担割合は1割、「1単位=11.4円」の地域とします。

月に18000単位の介護サービスを受けたとします。

区分支給限度基準額の16765単位までは負担割合は1割です。

それを超えた分は全額負担になります。

よって負担額は

1割負担分

16765単位×11.4円×0.1

全額負担分

(18000単位-16765単位)×11.4円

となります。

合計すると

16765×11.4×0.1+(18000-16765)×11.4=19,112+14,079=33,191円

となります。

<例2>

2割負担で15万円分の福祉用具購入をしたとします。

住宅改修と福祉用具購入は要介護度によって差はありません。

また地域によっての差もなく、単位設定はされておらず、金額そのままです。

支給限度基準額の10万円までは2割負担です。

それを超えた分は全額負担になります。

2割負担分

10万円×0.2

全額負担分

15万円-10万円

となります。

合計すると

10万×0.2+5万=7万

となります。

<施設サービス>

介護サービスには居宅サービスの他に施設での施設サービスがあります。

施設サービスは

  • ・特別養護老人ホーム(特養)
  • ・介護老人保健施設(老健)
  • ・介護医療院

に入所した要介護状態の人に対しての介護サービスです。

(「介護療養型医療施設」も含まれますが、これは2024年に廃止されます。)

これらの施設への入所は要支援状態の人はできず、要介護状態の人に限ります

施設サービスでは、施設での介護サービス費の1~3割分の負担以外に、居住費・食費・日常生活費がかかります。

居住費・食費・日常生活費に関しては全額自己負担になります。

facility-service-burden

施設での介護サービス費は要介護度などによっても変わりますが、例えば1割負担で特養だと2万円弱程度から3万円弱程度だとイメージしてもらえればいいと思います。

また、日常生活費は1万円強程度とイメージするといいと思います。

居住費は地域や施設の種類や部屋の種類によっても変わり、施設と利用者との間の契約によって決まりますが、平均的な費用を基に水準額が決められています。

施設の種類 従来型個室 多床室
特別養護老人ホーム
(特養)
1,171円/日 855円/日
介護老人保健施設
(老健)
1,668円/日 377円/日
介護医療院
施設の種類 ユニット型
個室
ユニット型
個室的多床室
特別養護老人ホーム
(特養)
2,006円/日 1,668円/日
介護老人保健施設
(老健)
介護医療院
従来型個室

共有スペースを併設していない個室


多床室

定員二人以上の居室(個室にはなっていない)


ユニット型個室

共有スペースを囲むように10以下の個室が配置されている


ユニット型個室的多床室

共有スペースを囲むように10以下の準個室が配置されている


今後は厚生労働省が推進しているユニット型が増えていく傾向にあります。

目安ですが、1割負担で

介護サービス費用を2.5万円として(2割なら5万円、3割なら7.5万円)

ユニット型個室とした場合

2.5万円+約6万円(居住費)+約4万円(食費)+1万円(日常生活費)

=13.5万円

これが1か月にかかるという事になります。

あくまでも目安として考えてください。

<高額介護サービス費制度>

医療保険の高額療養費制度と同じように、介護保険にも月に一定の上限を超えた場合、申請すると超えた分が払い戻される「高額介護サービス費制度」があります。

1 現役並所得者が世帯にいる 44,400円/月(世帯)
2 世帯の誰かが住民税を課税されている 44,400円/月(世帯)
3 世帯全員が住民税に課税されておらず、前年の合計所得金額と公的年金収入の合計が80万円を超える 24,600円/月(世帯)
4 世帯全員が住民税に課税されておらず、前年の合計所得金額と公的年金収入の合計が80万円以下 24,600円/月(世帯)
15,000円/月(個人)
5 生活保護受給者など 15,000円/月(個人)

2の場合

  • ・世帯の全ての65歳以上の負担割合が1割
  • ・世帯が現役並所得世帯に該当しない
  • この2点を満たした場合は446,400円/年の上限も適用される

高額介護サービス費制度は、施設サービスにおける居住費・食費・日常生活費・差額ベッド代や、居宅サービスを受けている場合の福祉用具購入費・住宅改修費は適応外になります。